構造とデザイン


705IIは一見奇抜とも思えるデザインですが、全て音質追求への背景から生まれたものです。
705IIは全体として、コンクリート打ち放し建築のような三次元的な造形美を狙っています。しかしその背景には音質があり、デザインの一人歩きはありません。機構部品点数が極めて少ない無駄のない構造です。


1:デザインコンセプト

イルンゴではオ−ディオ機器はメカニズムであるべきだ、と考えました。入力セレクタも音量調整もない本機を、単一機能のブラックボックスと見なすこともできます。しかし発想を変えれば、シャーシもトランスも機能部品でありメカニズムだとも言えます。かつてオーディオの黎明期に存在した憧れの名器たちには皆メカニズムを感じた…、その思いを根底にして、本機の構造とデザインが生み出されました。。


2:なぜ縦型デザインなのか?

本機の回路基板は重量がなんと2.4kgもあります。サイズは310X310mm(実はアナログLPジャケットサイズ!)。この1枚基板を水平配置すると自重で基板銅箔や部品にストレスを発生させ、音に抑圧感を生じさせます。当然床からの振動にも弱くなります。
デジタル入力からアナログ出力までの間に余計な内部接続端子を挿入したくない、そのために1枚基板は必須条件です。
この必要性の結果が、垂直懸架の発想を生み出したのです。


3:25ミリ厚のメインパネル

メインパネルを垂直にすると床側だけの片側支持のため、振動に弱いのではないか?との懸念を持つでしょう。イルンゴでは振動モードを解析し、長手方向の基本振動は25ミリの厚さから来る強度と、三日月状の側板(厚さ10mm)の補強で全く問題なし、との結論に達しました。(パネル自重約11.5kg)
また金属の厚板はレコードのターンテーブルでもご存知のように、チーンと表面の鳴きが発生しやすいものです。Model705ではその点を以下のように巧妙に避けています。
表面を2分割する手にザラッと感じる深いヘアーラインは、上下で水平と垂直に直行しています。中間に入る2ミリのスリット。深さ2mmで彫刻された大きなilungoのロゴマーク。丸いトランスの周辺の彫り込み。全て表面振動への配慮ですが、そのどれもが周到にデザインとして活用さています。機構設計と工業デザインの無駄のない結びつきです。
パネル裏側も配線ダクトとして深い彫り込みが随所に刻まれ、単一の振動モード発生が巧妙に防止されています。


4:なぜ傾斜パネルなのか?

model705にはいわゆる「足」が存在しません。その秘密は横からみると氷解します。傾けることでメインパネルの下側エッジの片側だけが「線」で接します。その後ろ側エッジを削り込み両サイド10mmだけが床に接しています。
同様に25mm厚アンダーパネルも最後部のエッジだけが床に接します。
すなわち3点支持ならぬ3線支持として、外見からは信じられないほどの安定感を得ています。



5:リアのパンチングメタルの意味は?

完全エアタイト構造にすると何故か音の抑圧感が発生します。この点に関しては古くからメーカー内エンジニアの間では周知のことでした。しかしシールドは必要です。
そこで0.5mmピッチのパンチングメタルを選びましたが、そのままでは厚さ0.5mmのため強度が得られません。建築の屋根構造にも似た発想の、R=280mmの優美なカーブは強度を得るための必然から生まれました。いわゆるデザイナーの遊びではありません。けれども、表面パネルの剛に対し、リアの柔という質感のコントラストを大胆にデザインとして活用しています。

        
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